されど汝は踊らでやまず

Ich möchte schlafen, aber du mußt tanzen.

歓喜の歌をわりと勘で読む②

前も申しましたが、歓喜の歌を読みたくなったのは『アンの世界地図』がきっかけです。

『アンの世界地図』の舞台徳島は、ベートーヴェン「第九」日本初演の地なわけですので、その関係から歓喜の歌がでてきます。

そのシーンは3巻にあります(ぎりぎりネタバレじゃないですよ!)。

なおほかのアンの世界地図関係の記事はめちゃくちゃネタバレなんですみません。

一応既読の人にしか意味がわからなくなるよう心がけてるんですけども…。

 

で、今回は前回読んだところのつづき。

Deine Zauber binden wieder,
Was der Mode Schwert geteilt;
Bettler werde Fürstenbrüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.

を読んでまいります。さーやるぞ!

1行目:Deine Zauber binden wieder,

ふふ、これね、好きでちょっと覚えちゃってるんですよ。

wiederがtogether, bindenが結びあわすみたいな意味だったはず。

最初のは冠詞ですね、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のeineアイネに似てる。Zauberは名詞だけどなんか人間とかかな。

検索してみる

ちがったー!

wiederはふたたびでした。againとずいぶん形ちがうやん…bindenは結ぶでよかった。

ていうかbindenしかあってない。Zauberは魔法でした!人間どころか生命体じゃなかったし体積もないやつだったな。英語で言うmagicですがZで始まるとより魔法感あるね.でも神秘的な力って感じでマクベスの怖い魔女的なのではない模様。

deineは厄介なやつです、所有代名詞dein,「あなたの」だけど、名詞の性や単数複数ですごい形が変わるやつ。まだちょっとよくわたしにはわからないので、「あなたの」であってるのかもわかりませんが、とりあえずこれで。

適当訳

あなたの魔法はふたたび結び合わせる、

こんなとこじゃない。サクサク行こう(すねてないし)。

2行目:Was der Mode Schwert geteilt;

あっこれきいたことある。ミーファソファがWas der Mode、ミレミラがSchwert geteiltでしょ。もう全然違うかもしれないけどおそれないぞ。

Modeは時代だなあ。でも他は、さっぱり察しがつかない。geteiltこんどこそtogetherって意味じゃないかなあ

検索してみる

検索したら画像がでてきてびっくりした。Schwertは剣でした。わお。geteiltはteilenの過去分詞だそう。まじ?過去分詞に接頭辞までつくのドイツ語?意味は「分ける」的な。

derは定冠詞だそう。dasの男性主格のかたち。あ、ダス・マン。ようやく覚えられそうな言葉が出てきてちょっと嬉しい。そしてwasはwhatだ。よくわからないけどwhatとおぼえとこう。そしたら、関係代名詞かな。

適当訳

全然察しがついてなかったわりに、複雑そうな構文(当社比)のわりに案外いける。

前文と順序逆にしてつなぐと「時代の剣がきりわけたものを、あなたの魔法はふたたび結び合わせる」。 よしよし、意味が通じるぞ。

3行目:Bettler werde Fürstenbrüder,

Fürstenbrüderのbrüderはbrotherかな?というのがわかるだけ。

さて後ろから見ていきます。ドイツ語ってたぶん言葉の前にいろいろ付け加えられる形っぽいから、うしろからみてくほうが文意をはやく察しやすくていいみたい。

Fürstenbrüderはやはり一語ではヒットせず。Fürstenはprinceの意らしい。んー?

werdeはわかんないといけないやつだった、be動詞的なものらしい。

そしてBettlerは物乞い。なるほど?英語のbeggarに似てる。bettleが物乞いするという動詞なのかしら。

まぁつまりこの1文は、物乞いも王子の兄弟となるということね。

 

4行目:Wo dein sanfter Flügel weilt.

またきれいに韻を踏んでるけどわかんないな。Flügelってフリューゲルホルンを連想させるけどもわからぬ。

検索すると、やっぱりフリューゲルホルンのフリューゲルだった。翼の意。

weiltは to be.to presentということだけだもどうしてこの一文の中でこういう語順になるのかはよくわからない。

sanferはsanftの比較級。more gentle.meeker。

woはwhereらしい。2行目wasと対応するんですね。そして!deinはあなただった。うーん出てきたのに忘れてた。

さて、つないでもわからない。あなた優しい羽存在するところで?格関係がわからないから、何が存在していて何が優しいのかわからない。

わからないから適当に「あなたの優しい羽のもとで」としておきます。

全体をつなぐ

時代の剣がきりさいたものを、

あなたの魔法はふたたび結び合わせる。

あなたの優しい羽のもとで、

物乞いも王子の兄弟となる。

 

うん、それっぽい。

こうやってじっくり読んでみると(そう、正しい答えを得ることが目的ではないのです。自分で、このすばらしいものとたたかってみる過程が大切なのです。微風とのたたかい。)、

1・2行目がほんとに『アンの世界地図』にぴったりですね。

 

時代が秋さんと灰三郎さまを引き裂き、秋さんとあおいちゃんを引き裂いた(マイズナーさんごめんね、君は時代関係なくたぶんもともと秋さんとは無理だったよ)、

そしてそのとばっちりをくらったあおいちゃんとマイズナーさんのことも引き裂いた。

引き裂かれた彼らは今生で結びつきを回復することはできませんでしたけど、

魔法が、結びつけてくれるのか。

うれしい、うれしいなぁ。

 

そして、物乞いが王子の兄弟になるのなら、どうしても別の世界を生きていたシュヴァンシュタイガーとマイズナーさんも、兄弟になれるのでしょうか。

 

そんなのは、夢だなぁ。

あんまり美しくて、夢だと気付かされてしまいます。瓦礫の中に、死にゆくマイズナーさんが洞窟から帰ってきたときのように。

わたしは、この歌が歌われたときの作中の現実に帰ってきます。

ドイツ帝国の終焉、束の間の、異常に美しい、収容所での暮らしの夢が潰えるときに。

 

だからこそ、この歌、いけませんね。ほんとに。

夢が潰えていくその最中に、今生の外での恢復を歌う心の強さと、その正反対の、切実な、せめて今生の外での恢復を祈るか弱い心、たぶんどっちもが真実で、どっちもが読者の心を滅多打ちにします。

うう…(なみだ)…

 

はぁ…歓喜の歌じゃなくてやっぱり『アンの世界地図』に戻ってきてしまったぞ…

もうお願い!みんな読んで!たのむ!